07線維柱帯切除術
線維柱帯を切除することで房水を眼外に濾過する手術方法です。上まぶたの裏に房水をためる袋(濾過胞)ができます。効果は一番高いですが、30分から1時間程度かかります。術後必ず視力が低下しますが、徐々に回復してきます。しかし、手術前と比べて目のゆがみが増えるので、手術前よりは見えにくくなる方が多いです。術後2週間程度は毎日診察が必要で、経過を見ながら追加の処置をして眼圧を調整します。術後1週間は提携医療機関へ入院をおすすめします。ほぼすべての緑内障に適応がありますが、特に進行した緑内障や続発緑内障、眼圧が低い症例に適応です。
線維柱帯切除術は手術をしたら終わりではなく、術後に眼圧を調整する必要があります。眼圧が高ければ縫合した糸を切ったり、癒着をはがす処置をしたりします。低ければ追加縫合などをします。そのため術後2週間程度はほぼ毎日診察をします。眼圧が落ち着いてくれば診察間隔があきますが、術後何年たっても眼圧上昇や感染のリスクがありますので、数か月ごとの経過観察が必要です。
合併症
-
眼内炎
眼内にばい菌が入りこんで化膿する事が稀にあります。術後合併症で最も重篤なもののひとつで、放置すると失明に至ります。
-
駆逐性出血
眼内で突然大出血を起こす事が稀にあり、手術中に発症した場合は手術を中止します。出血の状況にもよりますが失明に至る可能性があります。
-
房水漏出
房水が結膜の隙間などから漏れることがあります。点眼などで経過を見て治まらないようなら、縫合を追加します。
-
脈絡膜剥離
低眼圧により起こることがあります。経過を見るだけで改善することが多いです。
-
低眼圧黄斑症
低眼圧により起こることがあります。低眼圧が続くようなら眼圧を上げる処置が必要になります。
-
悪性緑内障
房水の循環障害により起こります。点眼、内服で経過を見ますが、改善されない場合は手術が必要です。
-
濾過胞感染
手術後何年たっても起こる危険があります。強い充血、痛み、視力低下があればすぐに眼科受診をしてください。
-
眼瞼下垂
瞼が下がりやすくなります。気になるようなら眼瞼下垂手術が必要です。
新しく房水の流れる通路を結膜(白目)の下までつくります。


08EX-PRESS挿入術
線維柱帯切除術と似たような手術ですが、線維柱帯を切除する代わりに、EX-PRESS® というインプラントを挿入することで、房水を眼外に濾過する手術方法です。線維柱帯切除術と比べると低眼圧による合併症は少なくなりますが、術後の追加処置による眼圧調整の効果が出にくい(眼圧が下がりにくい)です。
適応は線維柱帯切除術と同様ですが、その中でも特に硝子体手術後、無水晶体眼や眼内レンズの動揺がある方、ご高齢の方に適応です。
合併症
線維柱帯切除術と同じですが、低眼圧による合併症がおこりにくいのが特徴です。
エクスプレス

