アイリーア®8mgの導入について
2024.02.16
当院では新たにアイリーア®8mgによる抗VEGF薬治療を導入いたします。
対象疾患
・中心窩脈絡膜新生血管を伴う加齢黄斑変性(nAMD)
・糖尿病網膜症に伴う糖尿病黄斑浮腫(DME)
中心窩脈絡膜新生血管を伴う加齢黄斑変性ってどんな疾患?
そもそも加齢黄斑変性とは、眼の奥でものを見るために重要な役割をしている「黄斑部」に老廃物が
溜まり、変形して視力に影響を及ぼしてしまう病気です。
その中でも「萎縮型」と「滲出型」に分かれており、日本人患者の約9割が滲出型と言われています。
滲出型加齢黄斑変性では、老廃物の刺激による炎症で脈絡膜から網膜に向かって「新生血管」という脆い血管が発生・発育します。この新生血管は脆く破れやすいため、出血したり、血管中の水分(滲出液)が漏れたりして網膜の下に溜まってしまいます。溜まった血液や滲出液により黄斑部が障害され、視野に見えないところや歪みが生じます。
放置してしまうと、完全に失明までは至らずとも、日常生活が困難になってしまうこともあります。
糖尿病網膜症に伴う糖尿病黄斑浮腫ってどんな疾患?
糖尿病網膜症とは、高血糖状態が長期間続くことにより引き起こされる三大合併症の一つです。
血糖値の高い状態が長期間続くと、網膜の毛細血管が傷ついたり、詰まったりします。
初期にはほとんど自覚症状がありませんが、放置すると視野に歪みが生じたり、見えないところが出てきたりします。
また、糖尿病網膜症は「単純網膜症」→「増殖前網膜症」→「増殖網膜症」と進行しますが、
いずれの病期においても糖尿病黄斑浮腫を合併することがあります。
糖尿病黄斑浮腫とは、網膜の細い血管のコブができたり、血管中の成分が漏れ出して網膜内に溜まっている状態です。ものの詳細を見分けたり、文字を読んだりするのに大切な「黄斑」がむくんでしまい、ものが見えづらくなります。
新生血管が発生する原因となる物質
新生血管が発生・発育して血液や滲出液が漏れだす原因物質として、VEGF(ブイイージーエフ)が見つかっています。VEGFは正常な血管を形成、維持するために欠かせない物質です。しかし加齢黄斑変性においては、必要ない血管を発生させるなどのわるい働きをしてしまいます。
糖尿病網膜症に伴う糖尿病黄斑浮腫においても、VEGFが過剰に働くと血管の血漿成分が漏れ出してしまいます。
有効な治療法は?
上記の有効な治療法の一つとして、抗VEGF薬治療があります。
VEGFの過剰な働きを抑えるお薬を眼内に注射し、新生血管の成長や漏れ出る浸出液を減らすことで視力の改善が期待できます。
アイリーア®による注射も、抗VEGF薬治療に該当します。
既存のアイリーア®2mgとアイリーア®8mgはどう違うの?
当院ではこれまでにも、アイリーア®2mgを用いた抗VEGF薬治療を行ってきました。
アイリーア®8mgは、アイリーア®2mgより高濃度のアフリベルセプトを含み、より高容量で硝子体内投与を行う製剤です。
滲出型加齢黄斑変性や糖尿病黄斑浮腫の治療を行う上では、できる限り“再発を繰り返さない治療”が重要です。
容量の増加により、これまでより治療効果が持続し、結果として患者様の通院や費用等の負担軽減につながることが期待できます。
治療間隔
まず4週ごとに連続3回の注射を行います。
その後は定期的な経過観察を行いながら、16週ごとに1回の注射を行います。
なお、治療間隔は症状の再発に応じて調節される場合がございます。
治療に係る費用
健康保険の負担割合によって異なりますが、当日の診療費に下記の金額が追加されます。
負担割合 | 費用 |
---|---|
1割(※) | +18,180円 |
2割(※) | +36,350円 |
3割 | +54,530円 |
※1~2割の方は一月の医療費上限が18,000円(非課税世帯:8,000円)と決まっており、それ以上の窓口負担金は発生しません。
(引用元:https://www.eylea.jp/ja)