01単焦点眼内レンズと多焦点眼内レンズについて
白内障手術時に眼内に挿入するレンズは、単焦点眼内レンズと多焦点眼内レンズから選択する事ができます。単焦点の場合は術後ピントの合う位置は一ヶ所のみとなるため、例えば「遠方」を選んだ場合は、「近方」はぼやけてしまいます。
多焦点眼内レンズを選択した場合は「近方」にもピントが合うため、眼鏡に頼る頻度が減ります。術後に眼鏡に頼る頻度を少しでも低くしたい場合は多焦点眼内レンズをお勧め致します。また、メリットだけではなく、デメリットもよく把握して頂いた上でお選びいただき、皆様が満足のいく視機能を取り戻せるようお手伝いさせていただきます。
02多焦点レンズに適した方、適さない方
多焦点眼内レンズは白内障手術を受けられる方全員に適応がある訳ではございません。術前検査の結果、白内障以外の眼の病気があったり、術後の見え方に完璧を求めすぎる方にはお勧めしない場合がございます。
適 応(適している人) | *目に白内障以外の病気がない方*年齢80歳くらいまでの方*眼鏡の依存度をできるだけ減らしたい方 |
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禁 忌(適していない人) | *目に病気がある方(角膜疾患、緑内障、網膜疾患、虹彩/ぶどう膜炎など)*夜間の運転を職業とする方や、色の濃淡の判別が必要 な職業・趣味をお持ちの方*鮮明な画質でものを見ることを重視される方*白内障による視力低下がない方*神経質・批判的・完璧主義といった性格の方*瞳孔が極端に小さかったり、特殊な乱視のある方 |
03多焦点眼内レンズには数多くの種類があり、
術後に見たい距離を参考に決めていきます。
見たい距離と、それに適した行いを大まかに分けると以下の通りになります。どの距離を重視するかで選ぶレンズが変わってきます。
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30〜40cm位
(例)
書類、読書、スマホ、
編み物、裁縫 -
50cm〜1m位
(例)
パソコン、料理、カーナビ、
買い物 -
5m以上
(例)
運転、スポーツ、映画、
観劇(テレビ)
04術後に眼鏡なしで行いたい行為はどれですか?
日常生活での様々な行為と、その行為を行うのに適した焦点距離を表した以下の表を参考に、ご自身が術後に眼鏡なしで行いたい行為を選んでみましょう。表を印刷して行いたい行為に〇をつけてご持参いただくとレンズの選択がスムーズになります。
手術前に国家資格をもった視能訓練士が精密に目の検査を行い、眼内に入れるレンズの度数を決定いたしますが、若干のずれが生じる場合がございます。
焦点距離の表を印刷PDF形式05多焦点眼内レンズに決める前に知っておくべき3つの事
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1. ハロー、グレア、
waxy visionについて多焦点レンズの光学的特性から、夜間に街灯や車のランプに輪っかができる(ハロー)、光が散って見える(グレア)事があります。また、薄い膜が一枚かかったように見える事(waxy vision)があります。こうした症状は時間が経つにつれてなれてくると言われています。
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2. 見え方になれるまで時間がかかります。
多焦点レンズは複雑な構造をしているため、眼で得られた像に脳がなれるまで時間がかかる事があります。そのため、視力回復が単焦点レンズにくらべてゆっくりであることをご理解下さい。
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3. 追加手術が必要となる事があります。
術前に眼球の形状を非常に精密な機器で測定し、それぞれの眼に合ったレンズ度数を決定しますが、時にずれが生じてしまう事があります。ずれが大きく見え方にご満足いただけない場合は、レンズを入れ替えたり、他施設でのレーザー追加矯正手術が必要となる事があり、追加費用がかかります。
多焦点眼内レンズにはデメリットもございます。そうしたデメリットを良くご理解いただいた上で選択されることを強くお勧め致します。少しでも分からない事があれば、いつでも何度でもご相談下さい。